第27章 近付く距離、越えられない壁
峰「ひっ……!」
上「や、やべぇ…」
しかし次の瞬間、が柔らかく笑った。
「ふふ、でも楽しそうだったよ!もう荷解き終わった?」
耳「先生!」
芦「先生も寮に来てくれたの!? なんか安心する〜!」
上「うおー! 先生ー!」
峰「オイラの女神が光臨した!」
相澤の捕縛布が峰田を捕らえた。
峰「ぎゃーっ!!」
相「騒ぐな」
笑い声が再び広がる。
その空気にはそっと目を細めた。
芦「最初の夜だし、ちょっとしたパーティーしてるんです!」
上「そーそー!先生たちも混ざらねぇ?」
八「でも夜中まで騒ぐのは……」
相「すでに騒いでる」
「…じゃあ、少しだけね?」
「「「「やったー!!」」」」
それから生徒たちは「1-A入寮おめでとうナイト」を始めた。
耳郎がギターで軽快な曲を奏で、芦戸と上鳴が踊り出す。
飯田はなぜか司会役を務め、麗日と緑谷が手拍子を合わせ、笑い合っていた。
はその輪の中で、生徒一人ひとりの笑顔を見守る。
の胸の奥に、ようやく穏やかな温もりが戻ってきていた。
ふと、紅茶の香りが漂う。
見ると、轟が無言でマグカップを差し出してきた。
轟「…八百万に教えてもらった、も好きだと思う」
「わぁ…!焦凍ありがとう!嬉しい!」
そのやりとりを見ていた爆豪は、口元をほんの少しだけ吊り上げた。
爆(ま、今くらいは……いいか)
緑「ちゃん、本当に…戻ってきてくれて、よかったです!」
「ありがとう、出久。こうしてまたみんなと笑えるなんて、幸せだね」
の言葉に、生徒たちが静かに頷く。
笑い声が、夜の空気の中にゆっくり溶けていった。
その横で、相澤が腕を組みながら小さく呟く。
相「…それなら、俺たち教師の仕事も報われるな」
がそっと横を向くと、相澤の表情は相変わらず無愛想なのに、その目だけがどこか優しかった。
「はい!」
静かな灯りの中で、生徒たちの笑い声と紅茶の香りが、夜の寮にいつまでも優しく響いていた。