第27章 近付く距離、越えられない壁
次に轟が静かに現れ、距離を詰める。
轟「…、なんで電話もメッセージも返さなかった?何かあったのか?」
「ううん、バタバタしてただけだよ。ごめんね」
轟の目が一瞬揺れる。
幼い頃から知っているの、ちょっとした表情や仕草の変化も、今は手が届かない。
目の前にいるのに、守れない、救えない。
そんな無力感に胸が痛む。
爆豪も轟も、を思う気持ちは同じだ。
でも、教師として、同僚として、そして社会人としての相澤の存在が、2人の想いととの間に厚い壁を作ってしまう。
どんなに手を伸ばしても、今は届かない。
その苛立ちともどかしさが、2人の胸の中でうずく。
は気づかぬまま、微笑みを浮かべて2人を見上げる。
その笑顔が、2人にとっては遠く、手が届かない光のように感じられた。
爆豪は拳を握りしめ、轟は唇を噛む。
爆(クソが…)
轟(どんどん遠くなっていく気がする…)
2人はただ、の安全と無事を願うしかなかった。
そしてA組の生徒が全員揃い、相澤が口を開く。
相「とりあえず1-A組全員、無事にまた集まれてなによりだ」
全員入寮の許可が降りたようで一安心だった。
蛙「無事集まれたのは先生たちもよ。先生、もう大丈夫なのかしら…?相澤先生も、会見を見た時は居なくなってしまうのかと思って悲しかったの」
「大丈夫だよ、ありがとうね!心配かけてごめんね」
相澤はそんなを横目で見つめ、ほんの少しだけ目を細める。
その一瞬の優しさに気づいたのは、爆豪だけだった。
寮について説明する前に、相澤は生徒に大切なことを伝える。
相「当面は合宿で取る予定だった仮免取得に向けて動いていく。大事な話だ、いいか。切島、八百万、轟、飯田、緑谷、爆豪」
あの晩、あの場所へ救出へと赴いた6人の名が呼ばれる。
様子を見た相澤は、生徒たちがみんな行く素振りは把握していたと感じ取った。
相「いろいろ棚上げした上で言わせてもらうよ。オールマイトの引退がなけりゃ俺は耳郎、葉隠以外全員、除籍処分にしてる」
「……」
胸が小さく痛んだ。