第20章 奪われた手、攫われた光
轟と障子は腕を伸ばす。
障子はビー玉を無事手に収めたが、轟はあと少しの差で荼毘に取られてしまった。
荼「悲しいなあ、轟焦凍…。確認だ、解除しろ」
コ「俺のショーが台無しだ」
パチッと指を鳴らすと、障子の持っていたビー玉は常闇に。
そして荼毘のビー玉は爆豪に。
爆「くっ……っ!!!」
爆豪の叫びに応えるように、荼毘の腕の中でのまぶたがわずかに震える。
視界がぼやけ、耳鳴りが遠くに響く。
肺の奥が焼けるように痛い。
得体の知れない薬がまだ体に回っている。
それでも、意識の奥底で守らなきゃという想いだけが、全身を動かした。
「っ…か、つ…き……!」
掠れた声と同時に、は力を振り絞って荼毘の腕を蹴り上げた。
荼「っ!?お前…あの薬吸って動けるのか?」
爆豪は荼毘の手から離れ、地面に転がった。
爆「おい!!!!」
息を荒げながらもは、爆豪が無事なことに安堵したように微笑む。
荼「まぁいい…本命はこっちだからな。問題…なし。行こうぜ、」
爆&轟「!!」
緑「ちゃん!!」
障「先生!」
「みんな…、けが…してる…、だいじょうぶ…?」
震える声。
もう抵抗する力も残っていない。
再び視界が霞み、体が重く沈む。
そして、黒霧のモヤがゆっくりとを包み込んでいった。
爆「ぁああ!!!!」
緑「あっ……あぁ……うあああああっ!!!」
轟&障&常「…………………」
黒煙が立ちこめる中、
は仲間たちの前から、完全に姿を消した。
____________
黒いもやが、足元から絡みつく。
視界は霞み、音が遠のいていく。
もう、身体が動かない。
自分の名前を呼ぶ声が、胸を貫いた。
怒鳴り声なのに、どこか泣きそうで。
熱くて、痛くて、心が震える。
まぶたの裏に、爆豪の顔が浮かぶ。
いつも強くて、負けず嫌いで、真っ直ぐで。
そんな爆豪の声だけが、真っ暗な世界の中で確かに聞こえた。
指先を動かそうとするけれど、力が抜けていく。
最後に聞こえたのは、爆豪の荒い息と、遠くで弾ける爆音。
それが、再度の意識が途切れる直前の記憶だった。