第20章 奪われた手、攫われた光
その瞬間、一瞬にして辺り一面に火が這う。
すぐに焼けるような焦げるような匂いが鼻にきた。
「っ…!」
荼「逃がさねぇよ」
青白い炎が円を描くように地面を舐め、と荼毘を囲む。
どこにも、逃げ場がない。
万全を期していたはずだった。
警戒していた。
生徒たちを守るために、常に気を張っていたのに。
なぜ、今ここにヴィランが?
なぜ、こんな近くまで…
の視界は青白い炎に揺れ、森の木々が歪んで見える。
焦げた匂いと混じり合う甘い煙が、知らず鼻を刺激した。
体がどんどん重くなり、足元の感覚が薄れていく。
「……っ!」
言葉を発しようとしても、舌がうまく動かない。
息も浅く、心臓の鼓動だけが頭に響いた。
意識がふわりと霞む感覚――それは、知らずに吸い込んでしまった薬のせいだった。
強いでも、無防備な瞬間に吸い込めば、身体はすぐに支配される。
体が揺れ、膝が折れそうになる。
荼毘の炎の熱に錯覚のような安堵を覚えながらも、重力に逆らえない。
意識が暗闇に沈む直前、ほんの一瞬。
青い炎が写る目の奥で、悲しそうに笑う少年の横顔が見えた気がした。
荼毘はそっとを抱き上げる。
まるで壊れ物を扱うように、優しく。
荼「…久しぶりだな、」
その声には、炎とは対照的な、冷たい懐かしさが滲んでいた。
ぱち、ぱち、と音を立てて炎が森を舐める。
光が空を裂き、生徒たちの視界にも届いた。
マ「なに…この焦げ臭いの…?」
飯「山火事…!?」
マンダレイはすぐさまテレパスで全員に状況を伝える。
もちろん、合宿所で補習をしている相澤とブラドや生徒たちにも。
マ「ヴィラン2名襲来。他にも複数いる可能性あり。動ける者は直ちに施設へ。決して交戦せず撤退を!」
緊張が走った。
それと共に相澤はの笑顔が頭に浮かんだ。
相「!!!ブラド、ここ頼んだ。俺は生徒の保護に出る。それに…嫌な予感がする」
相澤は気が気じゃなかった。
相(考えたくないな…)
相澤は心の奥がざわつくのを抑えながら外へ飛び出した。
立ち込める黒煙の中、胸の奥が締め付けられる。