第20章 奪われた手、攫われた光
「暗い…怖い……うぅ…」
足元で枝がパキッと折れるたび、心臓が跳ねる。
でも、これも仕事。
生徒たちのため。
自分にそう言い聞かせ、震える膝にムチを打つ。
「よし!大丈夫!怖くない怖くない」
そう言い聞かせて最初の1組を待つ。
障子と常闇の2人に無事、札を手渡すことが出来た。
次は誰が来るんだろうか。
2組目である爆豪と轟は決していい空気感とは言えなかった。
爆「……………おい」
轟「なんだ」
爆「お前、のこと、どー思ってんだ」
轟「????好きだが、それがどうかしたのか?」
爆「………どこが、どんなところが好きなんだ」
轟「そうだな、」
轟が一瞬で柔らかい表情に変わる。
轟「まず優しいところ、他の人とは違ぇ。なんか包み込んでくれるっつーか、の傍に居ると安心すんだ。真っ直ぐで、自分を曲げねぇ。人の為に、尽くせる。偽善なんかじゃねぇ。…だが俺はそこは心配でもある。それから面倒見がいいところ。料理もうまいし。そういや歌も上手い。…オバケと虫が嫌いなところは意外だがそこもかわいいと思う。それからたまに何も無いとこで躓いたりする、ちょっと抜けてるところもかわいいと思…」
爆「だーーーっ!!!もういい!」
次から次に出てくる轟のへの想い。
自分の知らない、の姿。
その多さに、胸が締めつけられる。
爆(……あいつを昔から知ってる気でいた)
目線の先、月明かりの中でが立っていた。
を見つけた轟は、まっすぐ駆け寄る。
轟「大丈夫か?怖くないか?」
「しょ、焦凍…!ありがとう、こわい…けど、大丈夫!ありがとう!これ、御札!」
轟「無理するなよ」
そう言って、優しく頭を撫でた。
その一瞬、爆豪の胸に、熱とも痛みともつかない感情が走る。
あんな表情、轟が見せるのはにだけだ。