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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第20章 奪われた手、攫われた光


揺れるバスの中。
は膝の上に資料を広げ、真剣な顔で相澤に話しかけていた。

「ここなんですけど…」

肩が触れるほどの距離。
は気づいていない。
けれど相澤の方は、わずかに息を詰めていた。

香るシャンプーの匂い、耳に届く静かで透き通るような声。
目を逸らすことも、言葉を返すことも一瞬遅れる。

相(……集中しろ俺)

淡々と仕事の話を続ける。
それを聞きながら相澤は、無意識に指先を組んで落ち着こうとする。

芦「ねぇ見て、あの距離やばくない?♡」
葉「先生、顔ちょっと赤くない?♡」

ひそひそと囁く声が、バスの後方から飛んでくる。
はきょとんとし、無邪気に笑って振り返った。

その時、相澤はほんの少しだけ視線を逸らした。
窓の外、流れる風景に目をやる。

相「…無自覚って、一番厄介だな」

誰にも聞こえない声で呟いた。

そんな様子を、少し離れた席から爆豪と轟が見ていた。

爆(…チッ。クソが……“教員として”とか言っておきながら、どの口があんな顔すんだよ)

拳を握りしめるその一方で、轟は静かに眉を寄せる。

轟(相澤先生…距離、近すぎじゃないか。それに…俺たちに向ける顔よりも少し、緩んでる気がする)

ふたりの胸に渦巻くのは、焦りとも苛立ちともつかない感情。
笑顔を見せるの姿に、心の奥で何かが、静かに熱を帯びていくのだった。

________

生徒たちを乗せたバスが、山道の途中で静かに止まった。

扉が開くと、湿った森の空気が流れ込む。

トイレ休憩と言って下ろした生徒たちが、マンダレイの個性で森の中へ落ちていくのがバスから見えた。

相澤が戻ってきてドアが閉まり、世界がひとつ、切り離されたように静かになる。

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