第20章 奪われた手、攫われた光
そしてついに林間合宿当日。
朝の校庭、合宿用バスが2台並ぶ。
荷物を積み終えた生徒たちはテンション最高潮。
上「席決めしようぜー!」
芦「先生の隣は誰〜!?♡」
耳「これ、争奪戦確定じゃん!」
じゃんけん、くじ、果ては謎の早押し大会まで始まる。
は置いてけぼりだった。
その結果、
爆「ハッ!!の隣は俺だ!」
上「で、出たぁぁ爆豪の圧勝!」
芦「先生大丈夫かな!?」
そう言ってバスに乗り、言われるがまま爆豪の隣に腰掛ける。
バスのドアが開き、相澤が乗り込んできた。
無表情のまま、しかし目線だけがの座席を捉えた。
相「…おい、。どこに座ってる」
の隣には爆豪。
爆「さっき厳正な抽選で俺って決まったんだよ」
相澤は小さくため息をつき、肩をすくめた。
相「はぁ…は俺の隣だ。まだ打ち合わせとか色々あるからな」
爆「はァ!?今さら何言ってんだよ!!」
上「お、俺の隣…!!」
耳「な、なんかこっちが照れる…!」
芦「やばい!♡」
緑「ま、まぁまぁまぁ!!落ち着いて!!!」
相「お前らが勝手に決めたんだろ、元々決まってたことだ」
相澤は無言のまま、の方へ歩み寄る。
そのまま当然のように、の手首を軽く掴むと前の席まで連れていった。
残された爆豪は、盛大に舌打ちして窓の外をにらむ。
相「…生徒が緩む。それに打ち合わせもまだある」
爆豪は、奥歯を噛みしめた。
爆(ったく、どの口が言ってんだよ…。どう見たって、あの顔は職務じゃねぇだろ…てめぇが嫉妬してんの、丸わかりなんだよ。クソ教師が)
だが、それ以上は言葉にせず、拳を膝の上でぐっと握りしめる。
ちらりと前の席に座るを見ると、笑って話すその横顔にまた胸の奥がざらついた。
狭いバスの中。
生徒たちはひそひそと囁き合う。
「絶対嫉妬だって」
「先生、耳まで赤かった…!」
相「はぁ…うるさいぞお前ら」
にやにやとする生徒、少しだけ複雑な表情を浮かべる生徒。
バスの中には、林間合宿へ向かうはずの空気とは違う、どこか甘くて、くすぐったいざわめきが満ちていた。