第19章 変わらない日々、近付く影
その横で、轟はというと——完全に固まっていた。
轟「…………」
瀬「お、おーい、轟?」
轟「……あ、あぁ……」
瀬(轟フリーズしちゃってんじゃん…まぁでも、たしかにあれはやばすぎっしょ……)
頬を染め、視線をどうしても逸らせない。
普段の冷静さは跡形もない。
その後、上鳴の「先生にいいとこ見せようぜーっ!!」の掛け声で、男子たちは必死に競泳対決を始める。
爆「俺が1位だ!よく見とけ!!!」
轟「いや、俺が勝つ。ちゃんと見ててくれ」
が笑って「がんばれー!」と声をかけるたびに、男子たちの動きがどんどん速くなる。
そして、日が沈みかけたころ——。
相「…お前ら、時間だ」
静かな声が響き、全員が振り向く。
そこには仏頂面の相澤。
だが、その視線がの姿に止まった瞬間、動きがわずかに固まった。
濡れた髪から滴る水が首筋を伝い、光の粒となって落ちていく。
黒い水着姿で振り返る。
相「…………風邪、ひくぞ」
低く呟く声は、僅かに掠れていた。
「あ、すみません!すぐ上がります!」
相「……そうしろ」
背を向けて歩き出すが、耳の先がかすかに赤く染まっていた。
その背中を見送りながら、はそっと笑った。
ほんの少し、胸の奥が熱くなるのを感じながら。
夕焼けに照らされた校舎の前。
が髪をタオルで拭きながら歩いていると、背後から低い声が落ちた。
相「……ああいうの、控えろ」
「え?」
相「……あいつら浮かれて集中切らす」
「……ごめんなさい」
小さく俯くに、相澤は一瞬だけ視線を泳がせた。
沈黙が落ち、ため息まじりに口を開く。
相「……別に、責めてるわけじゃねぇ」
「え?」
相「……似合ってた。……だから余計に、だ」
不意に漏れたその言葉に、の頬が赤く染まる。
相澤はすぐに顔を逸らし、首の後ろをかきながらぼそりと続けた。
相「……次から気をつけろよ。林間合宿、近いんだからな」
照れ隠しにしては、少し優しすぎる声だった。