第19章 変わらない日々、近付く影
「今日も訓練を?」
相「あぁ…これからな」
夏休み前から、相澤は普通科の心操に捕縛布の扱いを教えている。
校舎裏の静かな空気の中、まだ少し濡れた髪を手で拭いながらが微笑んだ。
「人使、消太さんにマンツーマンで教えてもらえるなんて、嬉しいでしょうね!」
相「そうか…?」
「はい!人使、絶対にいいヒーローになれると思います。…今日、私もついていってもいいですか?」
相「もちろんいいが…何も面白くはないぞ」
「いいんです!生徒の成長見れるのが楽しいので!」
にっこり笑うの顔に、相澤はまた目を奪われる。
視線を逸らすように呟いた。
相「そうか」
相澤はそのまま歩き出し、待ち合わせの場所へと向かった。
心「先生!?」
相「あぁ。…気抜くなよ」
ギロリと睨む目が刺さる。
心「っはい…!」
答えた声が少し上ずる。
そうは言っても、心を掴まれた人。
ドキドキするし、いつもより力が入る。
相(今日はやけに力入ってんな…やっぱりか)
やれやれ…と思いながらも、指導の力は抜かない。
はその様子を静かに見守りながら、ふと柔らかく笑った。
風が髪を揺らすたびに、光がその瞳を優しく照らす。
相「よし、少し休憩しよう」
木陰に腰を下ろした心操に、水を差し出した。
「お疲れ様」
心「ありがとうございます…なかなか上手くいかなくて、かっこ悪いとこばっかり…」
「焦らなくていいよ。少しずつでも、今日の“できなかった”が明日の“できた”になるから。……私はそう信じてる、人使のこと」
心「はいっ…!」
相(あぁ…まただ)
は、こうして誰の心にもすっと触れてしまう。
計算なんてない。
ただ真っすぐで、優しいだけ。
だからこそ、の笑顔は一度触れたら離れられない。
頬を赤らめる心操を横目に、相澤はため息をついた。