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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第18章 英雄の物語、嵐の前の静寂 ※微


冷たい夜風が頬を撫でた、そのとき。
前方から、足音が近づいてくるのに気づいた。

見上げると、街灯の明かりを背に、ゆっくりと歩いてくる人影がある。
落ち着いた足取り、無駄のない歩き方。

は、はっと息をのんだ。

そこにいたのは、轟だった。

「……焦凍?」
轟「?」

互いに少し驚いて、けれど自然に小さく笑う。
言葉はなくても、どこかほっとしたように、ふたりは並んでベンチに腰を下ろした。

夜は静かで、風だけが二人の間を通り抜けていく。

轟「…こんな時間に、どうした」

その声は責める響きではなく、心配だけが滲んでいた。

「…ずっと、考えちゃって」
轟「そうか。俺もだ。戦いのことも…それと――」

言いかけて、轟は一度だけ視線を落とす。
ほんのわずかな迷い。それが、かえって真剣さを物語っていた。

「それと…?」

夜風に乗るように、低く静かな声が返ってくる。

轟「…のこと」

その一言で、の胸が小さく跳ねた。

「……私?」
轟「あのドレス姿が、ずっと頭から離れない。戦いの後だったのに…光みたいで」

は笑って誤魔化そうとする。
けれど頬は素直に熱を帯びた。

「やめてよ…そんなふうに言われると困る」

轟は少しだけ目を細め、静かに首を振る。

轟「みんな見惚れてた。爆豪も――そして、俺も」

ふたりの間を夜風が抜けていく。
その沈黙が、妙に近くて切なかった。

視線を逸らそうとした瞬間、轟の手がそっとの髪に触れた。
撫でるでもなく、掴むでもなく。
ただ、大切なものに触れるみたいに。

「…っ」

その指先の温度が、じんわりと心に残る。
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