第18章 …隻眼ノ呪詛
「……しかして我が王、恐れながらその呪いは、貴方様のお力を上回る者には効きませぬ。貴方様は魔王になられたばかり……暫くの間は、ニンゲンや下級天使等に、使用を止めておかれます様……」
「ああ……勿論、そうするよ。四文字の奴等の中には、どんな敵がいるかまだ判んねえしな。しかも向こうの世界じゃ、強力な魔法や魔術はあからさまに使えねえ……まあ、軽く使う程度にしておくよ」
ゾロはそう言い笑いつつ、深々と頭を下げる死神の肩を、ポン、と一つ叩いてやった。
そして、今度は死神の少し後ろで羽ばたく使い魔に視線を移す。
「使い魔、お前に一つ頼みがある」
「はい、陛下。どうぞご命令を」
「お前、新しい海軍本部……『ニューマリンフォード』の場所、知ってるか?」
「はい、存じております」
「流石……優秀だな。じゃあ、悪りぃんだけどよ……あそこに居る海軍のオッサンを、ニューマリンフォードに戻してくれねえか? その後はハーデスの所に戻ってくれ。おれもすぐ戻る」
「御意!」
鳥の姿をした使い魔は、美しい空色の羽を羽ばたかせつつ即答すると海軍大将の真上に瞬間移動し、彼と共に幽界から消え去った。
「……さて、おれ達も帰るか。死神、早速来てくれてありがとうよ。手間取らせたな」
「畏れ多いお言葉……痛み入ります。私めは王である貴方様の下僕……こちらに来た際は、何なりとお申し付け下さい」
死神は主に頭を下げたまま、視線を隣に立つアルベルへと移した。
「……ルナーリア族の御仁。如何でしたかな? 我が主……我が王の力、戦い振りは」
アルベルは、突然目の前に姿を現した三刀流の剣豪に、目を丸くしたまま。
灰色の地面に片膝を突き、拳を強く握り締めている。
その背中で燃えるルナーリア族の炎が、恐怖ではなく、激しい武者震いによって大きく揺らいでいた。
アルベルは恐る恐る、しかし鋭い眼光を残したまま、目の前に立つゾロに訊く。
「……お前は……お前達は……一体、何者なんだ……」
絞り出すような低い声だった。
姿は確かに、ついこの前鬼ヶ島で死闘を演じた海賊狩り・ロロノア・ゾロである。
だが、その体から放たれる底知れぬオーラは、人間のものではない。
海軍の最高戦力である大将を赤子同然に捻じ伏せ、精神崩壊させた圧倒的な『王』の得体の知れぬ力。
