第18章 …隻眼ノ呪詛
ゾロの体に刺さった蔓が、一瞬にしてドス黒く変色し、ボロボロと灰の様に崩れ落ちた。
「なっ!? 蔓が腐った……!? いっ、痛ぇっ!!! なんだこの感覚は……お前、一体何しやがった……!」
魔神族の血液は、人間に取っては猛毒である。
それを体内に取り込んだ結果、毒によって内側から腐敗したのだ。
水分を吸われても尚、微動だにしない死皇帝は口端を上げた。
「……火が効かねえなら、こいつはどうだ?」
動揺するアラマキに対し、ゾロは左手に覇気と魔力を集中させた。
「ブフーラ!!!」
唱えた呪文は氷結魔法。
左手から放たれた冷気の塊が、巨木と化したアラマキの体に激突する。
細胞内の水分が一瞬で凍結し、ミシミシと音を立てて巨大な氷の彫像へと化して行く。
「一刀流……厄港鳥!!!」
間髪入れず、ゾロは右手の閻魔を閃かせ、魔力と覇気を纏った斬撃を放つ。
その一撃は凍り付いたアラマキの巨体を両断、粉砕した。
氷の破片と木屑が宙に舞い散る。
(……い、一撃で……)
離れた場所で見守るアルベルは、思わず息を飲んだ。
あの巨木を瞬時に凍て付かせ、粉砕する威力。
ゾロの凄まじい力を、アルベルは食い入る様に見詰めた。
その時、砕け散った破片が舞い落ちた地面から、一本の『新芽』が顔を出した。
それは瞬く間に、アラマキの姿へと成長して行った。
「ラハハハ! 惜しかったなぁ! おれは『自然そのもの』! おれの『命』は、絶えやしねえんだよ!!」
再生し、勝ち誇るアラマキ。
再び巨木へと姿を変えた体から、新たな草木が次々と生えて来る。
だがゾロは、攻撃の構えを解くと、冷たい光を湛えた右目でそれを見下ろした。
死皇帝の隻眼の奥で、闇が光る。
その周囲を漂う瘴気が、ゾロの闇に反応する。
……と、アラマキの草花は瞬く間に枯れ果て腐り、黒い灰となって消滅して行った。
「……悪りぃな。おれは『死』そのものだ……生は必ず死に至る」
その声は、異様に低く、冷たかった。
逃れられない死の気配に、大将であるアラマキが初めて『恐怖』を感じ後退る。
「『生』の力……モリモリの実の能力じゃあ……おれには勝てねえよ」
「ふ、ふざけるな! おれが負ける訳が……!!」
そう叫んだアラマキに、異変が起こった。