第18章 …隻眼ノ呪詛
これ以上の被害を出さず確実に仕留めるには……方法は、一つしかない。
(……『幽界』で、殺るか)
ゾロは眼前の敵を見据えながら、背後のキングに告げる。
「……細けぇ話は後だ。まずはこいつを先に殺らねえとな。悪りぃが、お前も付き合って貰うぞ」
「な、何を……?」
「……トラポート」
キングの問い掛けを余所に、ゾロは小声で呪文を唱えた。
瞬間、青白い幾何学模様が地面に現れ、その光が彼等を包み込む。
彼等の姿は一瞬で幽界へと飛んでいた。
草木一つない、緑なき灰色の世界。
空も大地も死に絶えた、瘴気だけが漂う異空間。
目にした事のない不気味な光景に、アラマキは動揺する他なかった。
「なっ、なんだあ!? ここは!!! おれが居たのは、兎丼の筈だろおっ!!!」
「ろ、ロロノア……てめえ、一体何を……!」
驚愕するキングの声に、ゾロは振り返らず静かに口を開く。
「場所を変えただけだ。ここは『命』も『生きる土』もねえ世界……あの植物野郎には最悪の環境だろ。それより、お前は少し離れてろ。この世界の空気は生身の人間にゃあ、ちょっとばかり毒だからな」
ゾロはアラマキから目を離さぬまま、小声で呟く様に仲魔を召喚する。
「……使い魔、死神……出番だ」
灰色の空に小鳥の姿の使い魔が、キングの横には青白い光と共に魔人・死神が一瞬にして姿を現した。
死神は大きな鎌の柄を両手で持ったまま、恭しく頭を下げる。
「……我が王……魔人死神、ここに参上致しました」
「陛下、ご命令を」
二体の仲魔が主の命を待つ。死皇帝は彼等に命を下した。
「そこにいるキング……いや、『アルベル』を、海軍大将アラマキと、この瘴気から護ってやってくれ。おれが奴を仕留める迄……ここで世界政府の犬が崩れ去る様を、そいつに見せてやれ……!」
「御意!!」
「……なっ!?」
ゾロの言葉に、キング……アルベルはその目を大きく見開いた。
カイドウしか知らない筈の、己の真の名。
何故この剣士がそれを知っているのか。
呆然とするアルベルを連れ、使い魔と死神はゾロから数十メートル離れた安全圏へと一瞬で後退した。
事態が飲み込めないアルベルに、死神は静かに告げる。