第18章 …隻眼ノ呪詛
ゾロの言葉に、その場にいる皆の表情が驚きに変わる。
今迄、女に対してここ迄気を使うゾロを見た事がなかったからだ。
そんな中、フランキーだけが、不敵な笑みを浮かべていた。
「ルフィ、諦めろ……心に決めた女が出来たら、その女を守るのが漢ってもんだ……ゾロ、お前、更に漢を上げたな!」
「そうじゃねえよ! あいつはクルーになったんだぞ、大事な『仲間』だって言ってんじゃねえか! お前等なあ、なんですぐにそっちの方に話が行くんだよ! ったく……」
ゾロはその言葉の続きを、心の中で呟いた。
(これだから、女が居ると色々面倒になるから嫌なんだよ……ルシファーの野郎……後で覚えとけよ……!)
右手で頭を抱えるゾロに、縁側からサンジが煙草の煙を燻らせながら絡み始める。
「おーおー、単なる仲間なんだったら……おれが彼女を頂いちまおうかなー。お前にゃ勿体ねえレディーだからなあ、アホマリモ君」
サンジの心底から、ゾロに対するどす黒い嫉妬と、女に対する執念が湧き上がる。
(あのレディーには、お前みたいな筋肉バカマリモより、おれの方がお似合いだ……世界中のレディーは、このサンジ様が頂くんだ!!!)
サンジの頭の中に、どす黒い感情に混じりショッキングピンク色の卑猥な妄想が広がって行く。
同時に、彼の周囲に歪んだ情念……魔を引き寄せる赤い負のマグネタイト……『マガツヒ』の澱みが、ほんの僅かだが揺らめいたのを、ゾロは見逃さなかった。
その不快な思念が否応なしに届いた瞬間、剣豪は邪悪な笑みを浮かべ、低く冷ややかな声で言い返した。
「そりゃ残念だ……お前みてえなエロガッパは、あいつは心底大嫌いなんだよ……」
言葉と共に、ゾロの右目がギラ付いた。
闇の光を湛えた隻眼に睨み付けられたサンジの背筋に、一瞬、得体の知れない悪寒が走る。
(……あいつに指一本でも触れてみろよ、このエロガッパコックが……マジでぶった斬るぞ!!!)
他の仲間達は、ゾロのその異様さには気付いていない。
……いや、ただ一人。
やはりブルックだけが、ゾロの纏う底知れぬ『闇』を薄々と感じ取っていた。
邪悪な笑みを浮かべるゾロと、顔を引き攣らせ後退るサンジ。
その時、ゾロはふと、鬼ヶ島での激戦の最中にサンジから電伝虫が掛かって来た事を思い出した。
