すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第24章 気付く変化
「凜桜さん?」
呼び止められたのは退勤間近の静かなフロア。振り返ればそこには同じフロアの女性社員が立っていた。噂好きでも、駆る愚痴を聞くタイプでもいない。
社内にある『諒派』『千紘派』『住吉派』なんて派閥にも首を突っ込まないタイプの社員。だからこそ胸の奥が少しだけ強く鳴った。
「少しだけ、お時間もらってもいいですか?」
その声が、その視線がまっすぐで…逃げ場のない言い方。一つ返事をすれば会議室の前、一目は届く…でも声は耳に届かないような距離…
彼女は少しだけ言葉選ぶように間を取った。
「代表と…ーー」
ほんの少しの間。
「何かありましたか?」
直球だった。否定する準備はしていた。でもその目を、まっすぐに見てくる目を見た途端に用意していた言葉が喉元できゅっと止まった。
詮索でも…悪意でもない…確認だ。だけど今までに聞かれていたような言葉の物ではない事はよくわかった。
「最近思うんです。」
続く声は落ち着いていた。
「代表の線の引き方…接触の仕方が変わった気がします。特に凜桜さんに対して。近いとか、触れてるとか…無駄に別室に二人きりでこもるとか…そういうのは一切ないんです。誰が見てもそれは一目瞭然…ただ、『そういう話』じゃないんです」
むしろ…と前置きをして…
「視線だけでもはっきりと分かるくらいに離す気が無い」
その一言で周りの違和感が一気に集約されて言語化されてくる。私はゆっくりと息を吐く…そして吸い込んで…否定も出来ない。肯定も出来ない。
「…ですよね」
「…ッ」
「付き合ってるって事でいいですか?」
「…それは違う。」
はっきりと私は答えた。