すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第22章 不器用な甘え
「本当は…くっつきたかった…」
住吉の上着を掴む指に力がこもる…
「…でも…それをやったら…ッッ…嫌われそうで…」
言葉が途切れる。喉元が詰まる感覚に襲われて息を吸うだけでも少しだけ苦しい…
「代表で…大人で…ーーッ…いつも…余裕があって…」
一つ、また一つと言葉を紡いでいくたびに胸の奥の不安が零れ落ちていく感覚になる。
「…私が甘えたら…重いって言われちゃうんじゃないかって…」
声が掠れていく…どんどんと声が震えて、心臓んお音の方がよっぽどうるさい位に感じていた。
「…離されるのが怖かった…だから…甘えれなかった…」
それを聞いている間、住吉は言葉を遮らない。それどころか、話し終えた後も少しの間何も言わなかった。ただ、凜桜の背中に回された腕に静かに力を籠める。
抱きしめ返す…迷いなく…確かに…ーーー
「それを…ーー」
低い声が凜桜の耳元に静かに落ちる。
「…今まで一人で抱え込んでいたのか?」
責める響きは一切ない。ただ事実を受け取る音…それだけを確認する声…
その問いに声なく凜桜は小さく頷いた。
「…ーー嫌われて…離されるくらいなら…ーー我慢した方が楽だって…」
その瞬間だった。住吉の腕がはっきりと強くなった。
「…勘違いするな」
静かで、でもどこか逃げ道のない声だった、
「…俺は…そうやって我慢される方がつらい。」
凜桜の呼吸が一瞬止まった。
「…我慢して…抱え込まれて…『甘えられない存在』でいられる方がよっぽど…」
凜桜の頭上に落ちてくるその声は優しい心そのものだった。
「…甘えたいなら…くっつきたいって言うなら…
そこで一拍置いた住吉。
「…俺の前でやれ。諒でも千紘でもなく…」
命令でも優しさだけでもない心の音だった。