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すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~

第22章 不器用な甘え


マンションに着き、エレベータに乗り込む。そのままいつも通りに部屋に戻っていくものの、扉の前でフッと凜桜の足取りが揺れた。

酔いはほとんど残っていない。けれど、『甘えていい』と言われたあの声だけが…むしろあの声色だけが耳にはっきりと残っている。だからだろう…
我慢していた…抑えていたものだけが遅れてやけにはっきりと浮かび上がってくる…

鍵を開け終える住吉の背中を見ているうちに胸の奥がぎゅっと痛くなるように締め付けられるのが解った…

ーーー本当は甘えたい…
ーーーくっつきたい…

でも…

それをしたら重いって思われそうで…
嫌わないって言っても…『その状況』になったら嫌わてしまうんじゃないか…
そうなったら…ーーーもう戻れなくなる…

その恐怖だけが、ずっと凜桜の心にある理性にブレーキをかけ、立ち止まらせていた。

「…住吉さん…」

呼びかけた声が凜桜自身でも驚くほどにかすれていた。

ガチャン…

住吉が振り返ると同時に凜桜は溢れた思いのまま…踏み込んだ。同時にドアも締まる…その音がやけに大きくて…逃げ場を完全にふさいでいた。
住吉の背中に腕を回し、初めて…正面から巻き付いていった。

「…おい」

低い声が落ちてくる。それでも引きはがされなかった…それが凜桜の最後の堰を壊していく。

「……まだ酔ってるって…言い訳…しててもいいですか?」

凜桜の声はわずかに震えていた。
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