すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第22章 不器用な甘え
凜桜は言葉に詰まり、しばらく黙っていたものの、小さく息を吐いて小さくこぼしだす。
「…住吉さんの前だと…甘え方が解らなくなる…」
「と言う事はさっきの諒に対しては甘えていた、と?」
「…それは…」
凜桜も、住吉も…どちらも声は少しだけ低く、言い訳の様で、でも正直だった。
『甘え方が解らない…』
それを聞いてすぐ、住吉の胸の奥で何かが鈍く揺れる。脇の道路を走る車のエンジン音にすら消されそうなほどのため息を吐きだせば凜桜に視線を向けつつも住吉は言葉を選ぶ。
「…解らない、か」
「…はい…」
「どうして?」
「だって…」
言葉をつづけようとしつつも喉元で声を飲み込む凜桜。その癖が本当は話したい本音があると言う事を住吉はもうすでに知って居た。
「言ってくれて構わない。どう思っているのか…なんで俺には見せれないのか」
「…代表、…だからっていうのもあるかもしれないです」
ぽつりと落とされた声は住吉の心にちくりと棘を落とす。鞄の持ち手から手を放して体の前で指を絡ませながらも話し出す凜桜。
「…それに…」
「ん」
「…嫌われたくない…から…」
はじめの理由よりも明らかに本音を伴ったその声。それを聞いた後、住吉は鞄を持ち直し、空いた左手でするっと凜桜の右手をさらっていく。
「…ッ」
凜桜はほんの一瞬驚いたように住吉を見た。さりげ無いほどに柔らかく…指が絡まる。
「…嫌う理由なんてないだろ」
「…ッ」
「俺の前で、甘えたって問題ない。少なくとも二人きりの時だけでもいい。」
これは命令でも許可でも無かった。
ーーー要求…
それからほんの数秒後…
「…ん」
小さく返事をしながらも絡められた指に答える様に力が入る。
それだけで住吉の独占欲はさらに深くなっていった。