すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第22章 不器用な甘え
さっきの行動…それは同じ社内の人間だった。気心もしれてる。距離感だって、周りから見ても近い方なんだろうなと住吉も解ってはいる。それが例え『初めてこの四人を見た』人であったとしても解るほど…
それでもーーー
住吉の凜桜への独占欲はまるで隠す気など無いかの様だった。さっきまでの和やかな空気の中で、ほんの一瞬…しかもアルコールが入った状態で住吉ではなく他の人に寄りかかった事実を軽く受け流すことは出来なかった。
けれど…ーー
当の本人はといえば住吉の隣に戻った瞬間から妙におとなしくなる。
甘えない…
寄りかからない…
視線も…ーー少し遠慮がち…
さっきまで諒の横で見せていた無防備さが微塵も感じられない程に…歩幅がそろていたとしても、手も触れない…ましてや伸ばして掴もうとすらしない凜桜の距離。
住吉は何よりもそれが腹立たしくも感じていた。
ーーー…なぜ、俺にはしない…
社内の人間…しかも諒だからか…?信頼関係もあって…好きだと伝えあった。違うとすれば二人の関係には『甘い名前』が無いというだけ。しかしそれだけで言えば諒に至ってはそんな感情すらないはずだ。
「さっきは…」
切り出したのは住吉の方だった。視線を少し上げる凜桜とそれは重なることは無かったものの、それでも少しだけ瞳が揺れていた。
「随分と無防備だったな…」
「…え…っと」
責める調子ではなかった。だが完全に平静ではなかった。それを聞いて凜桜の手は、肩にかけた鞄のショルダーをきゅっと握りしめ直す。
「酔ってた…だけ…」
「俺の前では酔ってもあぁはならない」
それは寝食を共にしているからこその事実の私的だった。