すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第20章 残酷な朝
少しして凜桜は浴室から上がってくる。髪も体も洗われて…いつも通りの香りを身にまとう。
「すみませんでした…ッ…仕事…してきます…」
そういい部屋に向おうとする途中で住吉に引き留められる。
「……ッ」
「『好きでもない男』に抱かれて…どんな気持ちだ」
「…住吉…さん…ッ?」
「答えて。」
逃げ場はない…腕をきつく掴まれているでも、抱きしめられているわけでもない。ただ、凜桜の背中が壁にぴたりとくっついて、顔の横に住吉の手がある。それだけ…ただ、顔の距離は簡単に触れられるほどに近いものだった。
「…気持ちって…」
「ヨかったって事か」
「…ッ」
「…あぁ、推しって言ってたもんなぁ…」
「…ッ…によ…」
「何?」
「好きでもないって…そうでもしないと…消えてくれないもん…!抱きしめてくれた腕も…キスしてくれた事も!なのに…温もりとか…そういうの全部渡すだけ渡して…!やめとけって…!」
体を押し戻そうと試みるものの、全く力が敵う訳がない。ドンドンと胸元を叩く凜桜の手であっても力は弱く、八つ当たりに近いものだった。そんな手をグッと持ち上げ、頭の上で壁に縫い付ける様に抑え込んだ住吉。
「…俺のこと言ってる?」
「…ッ」
「消えてくれないって事は、昨日の瀬乃との関係を持つ前の事だろ。だとしたら俺しかいない。違うか?」
「…ッ」
目を無意識に逸らす凜桜。もう片方の手で顎を掴み、半ば強制的に視線を合わせる住吉だった。