すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第19章 危ない一歩…
「あ、そういう…」
少しだけさみしそうな顔をした凜桜。まっすぐに見つめればふわりと笑って口を開いた。
「彼はいないです。好きな人はいるんですけど…振られたばかりというか…」
「振られた、ねぇ…」
寿司をぱくつきながらも凜桜はど事言うわけでもなく、ただじっと瀬乃の目を見つめていた。
「そういう瀬乃さんは、どうなんですか?」
「俺?」
「はい。彼女とかいそうですけど」
「いないよ」
そう短く応える瀬乃。そのままの空気の中、食事を終えれば、車に乗り込んだ。
「好きな人に振られたって事は告白したって事?」
「いえ、告白とかはまだで…」
「あー、先にその人から好きな人いる的な宣告されたとか?」
「それもないです」
「……って事は、相手は住吉さんって事?」
突然に核心に付く瀬乃。どこから、どのタイミングからその名前が出てきたのだろうか…それは凜桜自身解らなかったものの、声が出ない…返事が出来ない…それだけで瀬乃にとっては確実に肯定の意味が受け取られていた。
「…そうなんだ…」
「…クス…でも、もしそうだとしても、社内恋愛禁止なんですよ、うちの会社。」
「そうなの?」
「はい。だからもし仮に同僚だったりしたとしても同じ会社ってだけですでにアウトなんですけどね?」
「なら俺はどう?」
突如聞かされたその言葉。ハンドルをするりと撫でる瀬乃のその言葉を聞いた凜桜はふと諒の言った言葉を思い出した。
『そんなに苦しいってなら他に男作ってみたら?』
「クス…冗談ですよね」
「冗談では言わないよ?」
「……でも、」
「いきなり好きになってとは言わない。ただ、俺も見てほしいって思う」
「……ッッ」
「で、せっかくなら、俺んちで飲み直す?」
そう誘われた。
「あの、同居してる人に…連絡だけいいですか?」
「実家?」
「いえ、訳あってお部屋間借りしているというか…」
「あぁ、いいよ」
そうして凜桜は住吉に連絡を入れた。
『すみません、今日少し遅くなります』
直ぐに既読は付かなかった。それでも凜桜はスマホを鞄にしまい、瀬乃の車で家に向かっていくのだった。