すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第17章 崩れる思い
それ以上住吉に何かを言える訳もなく、凜桜は部屋に入っていく。そんな閉まる部屋の扉を見つめながらも住吉はビールの缶を持ち直していた。
「…たく…どの口が言ってるって話だ。…自分で言いだした社則を俺自身がたがえるようなことしてんだなんて、な」
小さく笑いつつもため息が一緒に零れ落ちていくのだった。
***
そして『あれ』のカウントダウンが始まった。ピンスタではフォロワーたちの動揺が大きくなってくる。なんてこともない。しかし、その実態は住吉と凜桜のみが知っているものだった。
「…最悪…」
小さく呟くオフィスには誰も居ない。昨日のキスですらまだ唇に残っている状態で、逆によかったのかも知れない。それでも誰も居ないからこそ、考えてしまっている自分もいる事にうすうすと凜桜は気づいていた。
「…仕事、したいのになぁ…」
誰も居ないからこそ仕事がはかどるはずだった。公に資料を広げて、まとめ切って…そう思っていた。なのに…ーーー
「代表のバカ…」
ふと口を付いた言葉は他の誰に聞かせるでもないままに逆に自分の心を押しつぶしていくことにもなっていた。そんな時だった。ガタガタと音がしだす。
「…誰か来た?」
資料をまとめ、トントン…っとそろえ終えた時だ。
「お、っす」
「代表か…」
「俺じゃいけなかったわけ?」
「そうでも無いですけど…」
「…クス…誰も居なくて寂しかった?」
「別に、仕事がはかどって仕方ありません」
「…そう?」
「はい!」
そう話していた。一つデスクから資料を取ればそのまま『行ってくる』と声をかけてまたしても住吉はオフィスを出ていった。
「…心臓に悪いって…」
そう呟いていた。