• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第30章 「善意の逆理 Ⅲ」


「ただ、種子について、もう一つ重要なことがあります」



伊地知の表情が、わずかに険しくなった。



「阿頼耶識に蓄えられた種子は、人が死んでも消えないとされています。肉体が死んでも、阿頼耶識と共に次の生へ引き継がれる、と」

「……生まれ変わっても?」

「はい。輪廻転生に近い考え方です。ただ、記憶や感情がそのまま引き継がれるわけではありません。普段は『種子』として、本人にも意識されないまま眠っている」

「それが、何かをきっかけに芽を出すことがあるってこと?」

「そう考えられています」



伊地知はそこで一度言葉を切った。



「それで、さんが襲われた時のことが気になりまして」

「……五感がまともに使えなくなった時のこと?」

「ええ」



あの時。
細井の術式によって、は視覚も、聴覚も、触覚も――外から入ってくる情報をまともに受け取れなくなった。

そして、その直後。
の魔導は、今までにないほど大きく乱れた。
悠蓮が表に出てくるところまで。



「人が普段、外の世界を認識するのは、五感を通したもっと表層の意識だと考えられています。そのさらに奥にあるのが、阿頼耶識です。
術式によって五感を過度に刺激されたことで、外の世界を正常に認識できなくなり、さんの意識が普段より深いところまで沈んだのではないでしょうか」

「それが、阿頼耶識?」



伊地知は頷いた。



「そこで、眠っていた種子が何らかの形で表に出た。それが、あのような状態に繋がったのではないかと」



僕の頭に、あの時の悠蓮の声が蘇る。



『あらやに還る』



あの時は、意味が分からなかった。
ただの挑発じゃなかったってことか。
/ 939ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp