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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第30章 「善意の逆理 Ⅲ」


「真澄!」



私が叫ぶよりも、真澄の喉が小さく上下する方が早かった。
黒い種が、真澄の口の中へ消える。



「これで、千尋のところへ行ける」

「違う!」



が叫んだ。
その声に、真澄の肩がびくりと揺れる。



「諏訪烈に何を言われたのか、分からない。でも、それは違う」


「確かに、真澄ちゃんは罪を犯したよ。千尋ちゃんを助けられなかったことも、復讐のために人を傷つけたことも、なかったことにはできない」


「だけど、千尋ちゃんの痛みを知ったからって、千尋ちゃんの運命まで真澄ちゃんが背負う必要はない」



が、小太刀を握る手に力を込めたのがわかった。



「誰かの痛みや苦しみに触れて、それが自分のものみたいに流れ込んできても……今ここにいる自分まで、全部なくさなくていい」


「……少なくとも、私はそう信じたい。誰かの運命を背負うことと、その人に呑まれることは違うよ」



の“送る力”は、その魂に残った苦しみや痛みまで流れ込んでくるもの。
だから、その言葉には重みがあった。

でも、どこか。
真澄に向けられているはずなのに、自身にも言い聞かせているように聞こえた。


私は声が震えそうになるのを、奥歯で噛み殺す。



「真澄。あんたは、大間違いの大馬鹿よ」



言葉にするたび、自分の胸も抉られるみたいだった。


視界が滲んでくる。

こんなところで泣きたくない。
泣いたら、真澄まで崩れてしまいそうだったから。

だから、必死に睨みつけた。



「だけどね。私があんたを見捨てる理由にはならないんだよ」

「……え?」

「言ったわよね」



私は濡れた床を踏みしめ、真澄に手を伸ばした。
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