• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第30章 「善意の逆理 Ⅲ」


「気持ちわりーんだよ。……真澄の言葉に、別の誰かの感情が混じってんのよ」



真澄は話をする時、もっと柔らかく笑う子だった。
理屈じゃない。
でも、私の中の全部が、目の前のこいつを『真澄ではない何か』だと叫んでいた。


すると、真澄の口元がゆっくりと吊り上がった。



「あはっ。呪術師ってすごいね。そこまでわかるんだ」



その言葉で、信じたくなかったことが現実になる。
目の前にいる真澄が、もうあの頃の真澄ではないことに。



「本物の真澄はどこ」



真澄の顔をしたそれは笑って、自分の胸に手を当てた。



「だからさっきから言ってるじゃない。私は真澄だよ。でも、千尋の種が芽を出した……って言った方がいいのかな」



金槌の柄を、ぎりっと強く握り込む。

くっそ。
さっきから意味わかんねーことばっか言いやがって。


脳を移植して、他人の体を乗っ取る呪詛師がいるらしい。
そんな最悪な術式の話は、聞いたことがあった。

でも、これがこいつ自身の術式だとしたら辻褄が合わない。
私の知る真澄は非術師。
こんなふうに、呪力を持ってること自体がおかしい。


(……ってことは、受肉体か?)


聞きたいことは、山ほどある。
けど、まず聞くべきことは――。



「……二人を殺した理由は?」

「還しただけだよ」

「……還した?」

「そう。あの子たちがしたことを、同じだけ」



風に煽られて、真澄の髪が頬に張りつく。
それでも、彼女は瞬き一つしなかった。



「同じ苦しみを。同じ恐怖を。同じ絶望を」



真澄の手が、フェンスの金網を掴む。
ギリッ、と硬い音が鳴った。
/ 914ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp