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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第30章 「善意の逆理 Ⅲ」


表面に細い亀裂が走り、灰色の砂礫となってぼろぼろと崩れていく。



「……っ!」



私は急いで後ろへ飛び退き、金槌を構え直した。


礼拝堂で写真が、古い紙みたいに茶色く色褪せたこと。
食堂や礼拝堂で花が枯れたこと。

真澄の術式に関係があるのか。

対象を腐らせている?
……いや、何か違う。

でも、物を壊す術式だとしたら。
私との相性最悪ね。


背筋に、じわりと冷たい汗が伝った。


釘が崩れてしまうなら、遠距離攻撃は防がれてしまう。
なら、隙を見て近づいて一撃で仕留めるしかない。


金槌を強く握り直した、次の瞬間。
真澄の足元のコンクリートが、音もなく崩れた。

灰色の砂が、靴底の下で波のように広がる。
そう見えた時には、もう遅かった。

真澄の輪郭がぶれる。

まばたき一つ分の間に、数メートルあったはずの距離が消えていた。


(……え?)


足音がしなかった。
コンクリートを蹴った音もない。

ただ、真澄が立っていた場所だけが、遅れてざらざらと崩れていく。



「遅いよ」



すぐ真横から声がした。
反射で肘を入れようとしたが、顎を掴まれる。



「っ、離し……!」



右手も押さえ込まれ、無理やり口を開かされた。
真澄の指の間には、黒い種が挟まっている。


(種……!)


体の中で根を張り、内側から食い破って花を咲かせる――『Re:bloom』の種。
三つのうち最後の一つは、真澄が持っていたのか。



「野薔薇ちゃんにも、綺麗に咲かせてあげる」



無理やりこじ開けられた口元に、黒い種を持った指が迫ってきた。


(……っ、ふざけ、)


顎の骨が、ギリギリと軋む。
真澄の指先が私の唇に触れた、その時――

目の前で、白い光が弾けた。
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