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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第30章 「善意の逆理 Ⅲ」


「さっき替えたばっかりなのに……変ね」

「たまたま傷んでる花だったんじゃないの?」



そう言いながら、私は枯れかけた花へ視線を落とした。

白い花の間に、数枚のスナップ写真が立てかけられている。
亡くなった子たちが、制服姿で笑っている写真。
校庭で肩を寄せ合っている写真。
教室でピースをしている写真。

どれも、ありふれた日常の一枚だった。


その中の一枚に、ふと目が留まる。



「……これ」



手を伸ばして、その写真を持ち上げた。

そこに写っていたのは、中等部の頃のクラス写真だった。
制服姿の生徒たちが、校舎の前に整列している。

今より少し幼い顔つきなのに、さすがお嬢様学校。
ふざけている子なんて一人もおらず、みんな礼儀正しく上品に写っている。

何の変哲もない、ありふれたクラスの集合写真。


その中に、見覚えのある顔があった。

亡くなった二人。
を騙したあの子。
それから、少し離れた列の端に立つ真澄。


(……真澄、同じクラスだったんだ)


写真を裏返すと、文字が書き込まれていた。



――千尋、ちゃんと還すから。



「……千尋?」



その名前を口にした瞬間、新田ちゃんの言葉が頭をよぎった。



『亡くなってるんすよ。自殺で』



そういえば。
新田ちゃんが言っていた、自殺した子の名前って――。


すると、突然手の中の写真が、じわりと色を失った。



「え……?」



紙の端から、古い写真みたいに茶色く滲んでいく。
さっきまで鮮明だったのに、輪郭からゆっくりとぼやけ始めた。
私の手の中で、写真だけが何年も先へ進んでいくみたいに。



「ちょっと、何これ……」



ごくりと息を呑んだ、その時だった。













「きゃあああああっ!!」



礼拝堂の外から、静寂を切り裂くような甲高い悲鳴が響き渡った。
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