第30章 「善意の逆理 Ⅲ」
祭壇の中央には、いくつもの白いキャンドルが静かに火を揺らしていた。
その温かい光に囲まれるようにして。
生前、クラスメイトたちと一緒に無邪気に笑い合っている二人のスナップ写真が飾られていた。
「釘崎さん、この写真も飾ってくださる?」
クラスメイトから手渡されたスナップ写真を、一つひとつ祭壇に並べていく。
ふと一枚の写真に目が留まって、手が止まった。
(……これ)
そこに写っていたのは、亡くなった二人の生徒。
そして、その隣で笑っているのは、が助けたあの女の子だった。
「ねえ。この子、どうしてる?」
私は写真を手に持ったまま、隣で花を飾っている子に声をかけた。
「ああ、その子。最近、学校を休んでるのよね」
「休んでる?」
「うん。亡くなった二人とすごく仲が良かったし……きっと、ショックなんじゃないかな」
それを聞いて、私は手元の写真を祭壇の端に置いた。
を騙してたこと、きっちり問い詰めてやろうと思ってたのに。
事情があったにしろ、あの子がやったことは絶対に許されることじゃない。
の代わりに、一発殴ってやろうかと思っていたくらいだ。
「……あれ」
突然、隣で作業をしていた子が小さく声を上げた。
「どうしたの?」
「このあたりの花、さっきよりしおれていて……」
彼女が指先で示した方を見ると、白い花びらがそこだけわずかに茶色く縁取られている。
水を吸い上げきれなかったみたいに、茎も力なく傾いていた。