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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第20章 「君の心をさらったその日から**」


硝子さんはモニターに“切除された白い花”の経過写真が映し出した。
花弁はすでに縁が茶色く枯れ始めていて、花の芯からは黒ずんだ液体のようなものが滲んでいた。



「花も遺体も、まるで時間が一気に動き出したみたいに崩れていった」



種子みたいなものが原因で、身体の中で発芽して、死んでから花が咲く――
そこまでは、形になってきた。


でも。


分からないことのほうが、ずっと多い。


(……時間が動き出す、って……)

(あ、そういえば……)


ふと空港で先生の話を思い出した。

 

「先生。……呪詛師の方は、“死んですぐに花が咲いた”って、言ってましたよね」

「花が咲くスピードが違った理由って何なんでしょうか……?」

「ああ、それは、あいつが呪詛師だからだよ」



呪詛師だから……?
どういうことだろう。
首を傾げると、先生が人差し指を立てながら説明した。

 


「後悔、絶望、執着、憎悪、嫉妬エトセトラ。そういう負の感情が死の間際に強く生まれたとき、花は咲く」

 

先生は言葉を選ぶように続けた。

 

「呪術師――まあ、呪詛師も含めて、非術師より呪力が体の中をよく巡ってる。だから、花が咲くのが早かった」
 
「そう考えると、咲くスピードに差が出たのも納得いくでしょ」

 

硝子さんが腕を組みながら、呟いた。

 

「熊本の遺体は、若いうちに末期癌で亡くなってる」

「治療も限界、予後も短い。自分の死を理解した状態で、時間だけが過ぎていく」

「……死に際に負の感情が爆発しても、おかしくはないな」



先生は後頭部をかきながら、少し声を荒げる。

 

「でも、結局さ。花が咲いたからなんだっていう話なんだよね。……まだピースが足りない」

 

すると、硝子さんが何かを思い出したように席を立った。
引き出しから、ガラスケースを取り出す。

 

「そうだ。これも、見せておこうと思ってたんだった」

 

ケースの中に収められていたのは、鮮やかな赤い花――アネモネ。
私が触れた時に、悠蓮の記憶が流れてきたあの花。


 
「枯れない理由は、術式でもなんでもない」

 

硝子さんは、アネモネをケースから取り出した。
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