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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第20章 「君の心をさらったその日から**」


「これは、プリザーブドフラワーだ」

「……プリザーブド、フラワー?」

 

聞き慣れない単語に思わず問い返すと、硝子さんは頷いた。



「特殊な液体で水分と色素を抜いて、別の保存液を染み込ませた花。見た目は生花とほとんど変わらないから、見間違えてもおかしくない」
 


硝子さんはそう言ってから、少しだけ言葉を区切った。



「それよりも問題なのは、色だ。これ、本来は“白”のアネモネだった」

「白……だった?」
 


私の問いに、硝子さんは頷いた。

 

「プリザーブドフラワーは、後から色をつけられる。保存液に着色料を混ぜるだけだ」

 

その視線が、私へ向けられた。

 

「着色液の成分を解析したら、微量だが“人の血液”が混ざってた」

「DNAを照合したら――、おまえのものと一致した」

「え? わ、私……!?」

「千葉の港での任務中、大怪我しただろう。あの現場で採取したんじゃないか」

 

隣で先生が低く舌打ちする。 



「……っち。相変わらず気色悪いことするヤツだ」

 
 
硝子さんがアネモネの花弁をつまみ、蛍光灯に透かす。
照らされた赤は、まるで……乾かない血のように、艶やかだった。



「まあ、諏訪烈が“のストーカー”って言うなら、これだけでも恐怖を植え付けるには十分だな」

「けど……これ、“何かのメッセージ”って可能性はないか?」 

「は? どんな? 愛の言葉とか?」



先生は眉間に皺を寄せ、半ば本気で吐きそうな顔になっていた。
硝子さんは、くくっと笑ってからかうように続ける。

 

「あながち冗談でもない。赤いアネモネは、“君を愛す”って意味の花言葉があるから」

「お゛っえ~~~~~っっ」

 

今度こそ、先生が本気でうめき声を上げた。
後ろにのけ反ってソファに倒れ込む。

 

「やめて……の前でそういうのマジやめて……っ」

「五条、うるさい」



硝子さんは先生にそう言い捨てながら、自分のデスクへ戻った。


血を吸わせた赤い花。
花言葉だけじゃない気がした。
これには、まだ言葉になっていない“何か”があるような……


そう考えた瞬間、背筋が冷たくなるのを感じた。
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