第29章 川品中央総合病院
しかしここはやはり大人。
彼の唇に惑わされながらも、薄目を開きエレベーターの液晶パネルを確認し続ける。
エレベーターは、2人が押した階まで止まらずに降下しつづけた。
もうすぐエレベーターが止まる、という所で、彼を押し返す。
扉が開くと、2人はまるで何事も無かったかの様な顔で、エレベーターを待っていた外の乗客と、入れ替わる様にエレベーターを降りた。
駐車場に停めてある彼の愛車に乗り込むと…
椛「そのうち、公然わいせつ罪で捕まりますよ…」
安室「恋人同士のキスは、公然わいせつ罪には当てはまらないから大丈夫ですよ♪」
もちろんそんな事、言った椛本人も分かっている。
冗談半分嫌味半分で言ったつもりだったが、至極真面目に返された。
椛「もう〜…」
もちろん彼女の意図は、彼には伝わっていた様で…
安室「これでも十分我慢しているんだから、あれくらい良いだろ?」
椛「エレベーターには監視カメラが付いてるよ!」
安室「監視カメラの死角になる角度でしてたから、大丈夫だよ♪」
彼の言い分に、気を遣ってくれていたことは理解したが…
彼女は少し呆れた表情で…
椛「…能力の使い方間違ってる。」
安室「あはははっ!!
能力ってw」
椛の表現が面白かったのか、心ゆくまで笑い声を吐き出してから、車を発進させた。