第25章 懐玉
呪詛師は呪霊に拘束された状態で私に何かを言っている。
呪霊が「ちゅーしよう」って言っているのが聞こえるけど、してあげらばいいのに。
もしかしてキスするのがはじめてだからそんなに拒んでるのか。
いいいじゃないか、キスの一つや二つ。
減るもんじゃない。
私は携帯の画面を眺めながら悟にメールを送った。
数秒後、メールが返ってきた。
悟かと思ったがメールを送ってきたのは母親だった。
写真も一緒に送られてきている。
「ふふっ」
写真を見て私は思わず笑った。
そこには年の離れた妹の姿が写っている。
大きな誕生日プレゼントを両手に抱えている写真。
リスのように頬を膨らませケーキを食べている写真。
手も口も頬も生クリームでベタベタの汚した写真。
そのどれも満面の笑みを浮かべていて、その顔が眩しくてなんてかわいいんだろう、私の妹は。
誕生日プレゼントはちゃんと届いたらしい。
ハートや星のヘアゴムは、彼女の長く柔らかい髪を優しく縛っている。
「勿論"Q"もだ!!そうだ!!田舎に帰って米を作ろう!!」
…………。
幸せな気分になっていたのに、一気に現実に引き戻された。
最悪だ。
「呪詛師に農家が務まるかよ」
害虫が害虫駆除したところで共食いだろ。
米を作る前に、失った信頼を作り直しなよ。