第25章 懐玉
「でもさー。呪詛師集団の"Q"は分かるけど、盤星教の方はなんでガキんちょ殺したいわけ?」
少女が隠れている場所へと向かっている最中、悟が自販機で飲み物を買いながらそう言った。
悟の疑問は誰でも思う事だろう。
天元様を崇拝しているなら、尚更同化は喜ぶべきだ。
最悪の場合、人類の敵に成るかもしれない存在なんだから。
だが、彼らはその最悪の場合の事よりも天元様に不純物が混ざるのを嫌っている様だ。
「崇拝しているのは純粋な天元様だ」
混濁した存在を彼らは許せない。
純粋だからこそ信仰するに値する。
それが彼らの考えなのだろう。
「だが、盤星教は非術師の集団だ。特段気にする必要はない。警戒するべきはやはり"Q"!!」
「まぁ、大丈夫でしょ。俺達最強だし」
サラッとそういうことを口にするからな。
嬉しいけど。
私も同じこと思っていたけど。
なかなか口にはできないよ、そう言う事。
「天元様が俺達を指名……何?」
「いや……」
じっと見つめすぎた。
ここで「だよねー、私達最強だよねー」と言っても「何を子供みたいなことを言っているんだ」と言っても、少し面倒な展開が起こりそうだったため、私は話を反らした。
「悟。前から言おうと思っていたんだが、一人称"俺"はやめた方がいい」
「あ"?」
「特に目上の人の前ではね。天元様に会うかもしれないわけだし。"私"最低でも"僕"にしな」
飲み終わった缶を術式で小さくしてゴミ箱に投げる悟は私の言葉に眉を寄せた。
一人称を変える気はなさそうだ。
ただでさえ人相が悪いんだから、言葉だけでも柔らかくすれば面倒なトラブルには巻き込まれないのに。