第25章 懐玉
「冗談はさておき」
「冗談で済ますかは俺が決めるからな」
「天元様の術式の初期化ですか?」
「何ソレ?」
頬杖をついた悟の声に私も先生もじっと見つめる。
五条家の次期当主様が何を言っているんだ。
君が一番知らなきゃいけない事だろう。
18歳になったら正式に五条家の当主になるのはほぼ決定事項なんだから。
日本の呪術界の中心ともいえる存在。
不死の術式を使えるが、不老の存在ではない。
一定の時間経過によって、術式の効果で肉体が変化し、完全に肉体が変化した場合は意思のない存在へと成り、最悪の場合敵になる可能性がある。
その為500年に一度、星漿体と呼ばれる「器」と同化することで肉体の変化を止めることができる。
それが、天元様。
「肉体が一新されれば術式効果も振り出しに戻る。"進化"は起こらない」
「成程。メタルグレイモンになる分にはいいけど、スカルグレイモンになると困る。だからコロモンからやり直すって話ね」
なんでデジモンで例えた。
余計に分かりづらくならないか。
だけど、悟がそっちの方で理解したならそれでいいか。
先生曰く、どうやら星漿体の少女の所在が漏れてしまったらしく、少女の命を狙っている団体が2つあるという。
一つは、天元様の暴走による現呪術界の転覆を目論む呪詛師集団「Q」という団体。
そしてもう一つは、天元様を信仰崇拝する盤星教「時の器の会」という宗教団体。
天元様と星漿体の同化は2日後の満月の日。
それまでに少女を護衛し天元様の下まで送り届ける。
失敗すればその影響は一般社会にまで及ぶ。
確かにこの任務は学生である私達には荷が重いかもしれない。
だけど、私と悟だよ。
そこら辺の呪詛師や呪霊なんて足元にも及ばないだろう。
だって、私たちは「最強」なんだから。