第25章 懐玉
「強い奴イジメるバカがどこにいんだよ」
「君の方がナチュラルに煽っているよ、夏油君」
「あ"」
五条は分かってて私をバカにしてるけど、夏油の場合は素で言っているから余計に質が悪い。
こいつらが後輩だと思うと私のストレスが半端ない。
唯一の救いなのは……。
「歌姫センパ~~~イ。無事ですか~?」
「硝子!!」
ショートボブで泣き黒子がチャームポイントの私の可愛い後輩、家入硝子がひょっこりと顔を出した。
彼女だけが私の唯一の心のオアシス。
「心配したんですよ。2日も連絡なかったから」
「硝子!!アンタはあの2人みたいになっちゃ駄目よ‼」
「あはは。なりませんよ、あんなクズ共」
私は硝子に思い切り抱き着いた。
本当にいい子だよ、硝子は。
未成年で煙草吸っているのはどうかと思うけど。
それでもあんなクズ共といても一緒に落ちぶれたりしないから、私は硝子のことが好きなのよね。
……………。
ちょっと待って。
今硝子なんて言った?
「……2日?」
私達がここに来たのはついさっきのハズ……。
「あーやっぱ呪霊の結界で時間ズレてた系?珍しいけどたまにあるよね。冥さんがいるのにおかしいと思ったんだ」
五条の言葉を聞いて、まさかそんなに時間が経っているとは思っていなかった。
「心配かけてごめんね、硝子」
「いいえ~。歌姫センパイに怪我がなくてよかったです」
にこりと笑う硝子に私は泣きそうになった。
なんていい子なんだろう。
硝子の爪の垢を煎じて飲ませてやりたいわ、あのバカ共に。
「それはそうと君達。"帳"は?」
任務が終わってホッとしたのも束の間。
冥さんの一言で、硝子達の動きがぴしりと止まった。