第25章 懐玉
この作戦を実行しようとしたその時。
壁がピシッと音を立ててひび割れた。
次の瞬間には建物が粉々に砕け、落ちてくる瓦礫の下敷きにならないように身をかがめた。
なぜいきなり建物が崩れたのか疑問だったが、その答えはすぐに解決した。
「助けにきたよ~。歌姫」
軽率で軽薄で飄々としていて生意気で呪術師最強と謳われている、性格が最高に悪いクズな後輩、五条悟が私を見下ろしていた。
「泣いてる?」
「泣いてねぇよ‼」
サングラスの隙間から見える蒼い六眼は私をバカにしたような目つきだから尚更ムカつく。
私の方が先輩なんだよ‼
「泣いたら慰めてくれるかな?是非お願いしたいね」
いつの間にか冥冥さんは五条の隣に立っていて、妖艶な笑みで五条に話しかけていた。
「冥さんは泣かないでしょ。強いもん」
それはつまり私は弱いから泣くとでも言いたいのか。
そんな簡単に泣いたりしねえわ。
特にオマエの前ではな!!
「五条!!私はね」
どこまでも生意気な後輩に今日こそは文句を言ってやろうと意気込んだのも束の間、私の背後の地面から屋敷を巣食っていた呪霊が出現した。
が、それは一瞬の事で呪霊は呪霊の口の中に飲み込まれていた。
これは……。
「飲み込むなよ。後で取り込む」
もう一人のクソ生意気で底意地の悪いクズな後輩、夏油傑が姿を現した。
「悟。弱い者イジメはよくないよ」
長い髪の毛をお団子にして柔らかく笑うが、言っていることは私を見下す言葉。
だから私の方が先輩だっつってんでしょうが。