第24章 逢瀬
「お姉さん、一人?」
恥ずかしさで悶えていたら声を掛けられた。
ナンパかよ。
待ち合わせスポットでも有名なオブジェ前にいるんだから、誰か待っているのかなってことくらいわかれよ。
「一人じゃないです。人を待ってます」
「友達?恋人?」
「……」
恋人……って言いたいけど、どうなんだろう。
付き合おうってお互いに言っていないし、両想い……ではあると思うけど……。
「そういうアンタは誰か待ってんの?」
「うん。かわいい彼女。漸く付き合えることになったんだけど素直じゃなくてね」
「へぇ」
「恋人って答えればいいのに恥ずかしがって黙っちゃう天邪鬼でさ」
「………」
その人は、私の隣に腰をかけた。
距離の近さに少しだけ座っている位置をずらす。
「普段はファッションセンス皆無なのに、今日はめちゃくちゃお洒落してて。友達に見立ててもらったんだろうけど、僕とのデートを楽しみにしてたんだって思ったら、今すぐにも抱きしめてキスの一つや二つしてあげたくなるよね」
「……………公共の場だから、やめたら?」
「ここではしないよ。他の連中に見せたくないじゃん。それより、お姉さん顔赤いけど、大丈夫?」
「…………うるせえよ。恥ずかしい事ベラベラ喋りやがって」
隣に座っている男をぎろりと睨むと、そいつはニコニコと笑って私を見ていた。
真っ白い髪の毛にいつもの目隠しではなくグラサンをかけている男は、間違いなく悟だ。
「お待たせ、」
グラサンの奥から覗く真っ青な瞳に、私は視線を反らし小さく頷いた。