第24章 逢瀬
蓋を開けて鍵盤を適当に叩きながら、音が狂っていないかを確かめる。
うん、狂ってない。
椅子に腰を掛け私はピアノを弾いた。
久○譲さんの「Summer」を奏でる。
切なくもどこか懐かしく感じるようなメロディー。
真っ赤に染まる田舎道を帰る子供たちの姿や、青空の下縁側でスイカを食べてる家族の姿、そういう映像が私の脳内に流れてくるから、すごく好きな音楽の一つ。
ああ、七海に久○譲さんのCDも貸せばよかった。
今度貸してあげようか。
そんなことを考えながら私は随分と長い時間、ピアノを弾き続けていた。
ピアノを満足するまで弾いた私は部屋へと戻った。
そしたらなぜか部屋には野薔薇がいて、「よっ」と片手を上げた。
いや、勝手に人の部屋入るなよ。
「勝手にお邪魔していたわよ」
「見りゃ分かる。で、どうしたんだよ。何か用か?」
「明日のデートの服を決めてあげようと思って。アンタ服のセンス皆無だからさ。ダッサイ恰好して行かれても困るし」
何一つ文句を言えなかった。
何故なら野薔薇の言う通りだからである。
野薔薇は座椅子から腰を上げると箪笥の中を漁った。
「前よりはマシな服が増えたわね~」
そう言って明後日はポイポイと私の手に渡していく。
マシな服のほとんどは野薔薇が見繕ったものがほとんど。
あとは禪院真希からの貰い物やぜんまいちゃんからの貰い物だったりする。
自分で選んで買ったわけではない。