第24章 逢瀬
駅構内に設置されているベンチに座る私たち。
あまり居心地のよろしくない空気が流れているけど、小さく息を吸って吐いた。
「謝んなきゃいけないことがある」
「え?」
「さっき嘘ついた。虎杖に彼女はいないことは確かだけど、好きな奴はいる」
「……」
小さく零した言葉に、小沢優子は耳を傾ける。
その沈黙に心が痛んだけど、嘘をつき続けることのほうが辛い。
「虎杖の好きな奴は―――」
「夏油さん、ですよね?」
「……え?」
思わず彼女を見た。
彼女は眉を下げて笑っていて。
いつからそのことに気づいていたと言うのか。
なんて言えばいいのか分からなくて口を開いては閉じてを売り返すしか私にはできなかった。
「虎杖君が来た時、真っ先に夏油さんを見て笑ってて。それ見て、ああ、虎杖君は夏油さんのことが好きなんだなって」
「……告白、されたけど振ったんだ。でも、それをあの場で言うのは、なんか違うって思って……」
「たぶん私も夏油さんと同じ立場なら、そうしたと思います。私を傷つけないために嘘をついてくれたんですよね」
「結局傷つけてるけどな」
「嘘をつき続けられるよりは全然マシですよ。それに……」
「それに?」
「……少し私の昔話に付き合ってもらってもいいですか」
そう言った小沢優子は今にも泣きそうな顔をしていた。