第14章 明日
私の到達できなかった呪術の極致をこの子は既に習得しているとは。
しかし身体への負担は大きく、彼女の口や鼻からは止まることなく血が流れ続ける。
やめさせなければ死んでしまう。
「夏油さん、あなた……!!」
「黙ってろよ、七海。コイツを祓うんだろ?」
だけど、私の言葉を遮り夏油さんはにやりと笑う。
死んでも奴を祓ってやるという強い意志を感じる。
が……。
夏油さん自身、自分の限界を悟ったのか止めを刺そうと"Soul"と書かれた錠に鍵へと視線を移す。
鍵を握っていた腕を伸ばし、錠へと差し込もうとした瞬間。
彼女の領域は音を立てて崩れた。
呪力の方が先に尽きてしまったのだ。
口から血を吐く夏油さんを虎杖君と二人で支える。
虫の息、と言ってもいいほど彼女の体には力など入っていなかった。
「危ない危ない。あのままだったら俺本当に死んでたかも」
そう言ってツギハギの男は口から改造した人間のストックを吐き出した。
まだ、隠し持っていたとは。
「短髪の餓鬼を殺せ」
迷いなく3体の改造人間は虎杖君を狙う。
虫の息である夏油さんを殺せと言う命令を奴はしなかった。
彼女を殺せない理由でもあるのだろうか。
が、考えるのはあとだ。
今は目の前の敵に集中しなくてはいけない。