第14章 明日
――七海建人side――
私の忠告を無視した彼らの元へと駆け付ければ、私の目に映ったのは、腹部を貫かれた夏油さんの姿。
引き抜かれた腕から流れる大量の赤い液体が地面に染みを作り、彼女はゆっくりと倒れていく。
急いで抱きとめれば、虚ろな瞳が私を映した。
「説教は後で。現状報告を」
「2人……助けられなかった……」
顔を歪ませる虎杖君はどこまでも他人のことを気遣う。
あなただって相当な大怪我を負っているでしょうに。
「まずは君の体と夏油さんの容体を」
「俺は平気。いっぱい穴、空いてっけど」
「……。平気の意味。夏油さんは、重症ですね……」
たくさん穴が空いていながら平気だと答える虎杖君のそのタフさに言葉を一瞬失ってしまったが、しっかりと質問に答えられているし、二本の足で立っているところを見れば嘘ではないのだろう。
問題は夏油さんだ。
腹部の穴と骨折している右腕。
浅い呼吸に額には脂汗が滲んでいる。
どう見たって重症で、早く家入さんの治療を受けねばいけない。
だというのに。
「ははは!!大丈夫だよっ!!」
彼女は大きな声で笑ってそう言った。
瞳孔が開いているのを見ると、アドレナリンがたくさん出ているのだろう。
痛みを感じないのか、彼女は私の腕から抜けるとクスクスと笑っている。
その時、私は気が付いた。
ツギハギの男の鼻から血が出ていることに。