第14章 明日
『矜持も未来も!!おまえの全てを捧げて!!俺に寄り縋ろうと!!何も救えないとは!!』
「……吉野、待ってろ。今助けてやるから」
『惨めだなぁ!!!この上なく惨めだぞ!!小僧!!!』
「大丈夫……。何も心配しなくていい……」
宿儺の言葉に耳を貸してしまい、動けない虎杖の代わりに。
私が。私が吉野を助けるしかない。
ゲラゲラゲラゲラ。
ゲラゲラゲラゲラ。
宿儺と男の笑い声が。
私と虎杖の耳の奥、頭の奥、心臓の奥、身体全身に流れ木霊し、染み付く。
そして、気づいてしまう。
本当は最初から気づいていた。
気づいていたけど、改めて実感してしまったんだ。
宿儺も。
継ぎ接ぎ野郎も。
どこまでいっても。
"呪い"なんだと言うことを。
「ゆ……うじ……」
呪いの笑い声に包まれる廊下の中。
虎杖の名前を呼ぶ吉野。
その瞳からはたくさんの涙がこぼれていて。
虎杖の制服を掴むその手は縋っているようにも見えて。
私は、静かに、吉野の心臓に、鍵を差し込んだ。
「"施錠"」
静かに、左手を回して。
心臓の鼓動を感じて。
命の重さ、温かさ、冷たさを感じて。
「げ、とう……?なんで……?」
「せめて、苦しまないでほしくて……」
「そうじゃねえだろ!!!!」
私の胸倉を掴む虎杖。
その表情は怒りに満ちていて、私は何も言えなかった。
虎杖にとっては、「殺す」ことは選択肢に入っていない。
どんな人間であっても助けようとする虎杖。
それでいい。
おまえはそういう奴だから、人は殺せないから、だから、私が代わりに殺す。