第14章 明日
2階であろう場所まで来ると私の目の前には、壁と男の変形した腕に挟まれている虎杖の姿が映った。
そして男の隣に立つ吉野の姿も。
吉野の肩には男のもう片方の腕が触れている。
反射だった。
反射的に階段の踊り場から男に向かって飛び降りた。
だけど、男の方がコンマ数秒早かった。
男と共に廊下に転がった私の目には、怪物のような姿へと変わった吉野がいた。
私が飛び蹴りをしたおかげで、虎杖を拘束していた腕は剥がれたらしい。
しかし吉野はまっすぐに虎杖に向かって攻撃をくり返す。
だけど、虎杖は反撃しない。
私はと言うと、地面に転がった衝撃で右腕を完全にやってしまった。
肩から指の先まで、紫色の腫れあがっている。
冷汗や脂汗が止まらない。
それでも、私は自分より優先するべきことがある。
ゆっくりと立ち上がり、虎杖に近づく。
吉野は虎杖を殴り続けている。
「順平!!しっかりしろ!!今治してやるから!!」
治らないよ、虎杖。
反転術式でも治せないんだって。
だから、吉野を思うなら。
吉野を本当の意味で助けてあげたいなら……。
「宿儺……。宿儺ァ!!!」
虎杖は、自分の中にいる宿儺に助けを求めた。
なんでもするからと。
自分の事は好きにしていいからと。
だから、自分の心臓を治した時のように吉野を治してくれと。
『断る』
虎杖の懇願を、宿儺は一刀両断した。
『ヒヒッ。ケヒッ。愉快愉快』
大きな口を開けて、宿儺は笑い声をあげる。
虎杖をバカにするように。
いや、バカにしているんだ。