第14章 明日
「君を殺すなって言われているんだよね。利用価値があるからって」
「……誰にだよ」
「それも言うなって言われてるんだよ。まだ言う時じゃないって」
さっき殺そうとしてたくせに、何言ってんだコイツ。
上から私を覗き込むようなそのニヤケ面を殴りたい。
「じゃあ、そう言う事だからしばらく大人しくしててよ」
そう言って男は屋上を後にした。
どんなに叫んでも男の耳に届くことはない。
早くこの状況を打破しなければ、虎杖が危ない。
「どけ!!」
殴っても蹴っても、びくともしない。
それどころか私を拘束する力が強くなり、体がきしんだ。
骨がみしみしと音を立てている。
このままでは全身の骨が折れてしまう。
その時、気が付いた。
改造人間の瞳から一筋の涙がこぼれていることを。
【一度改造された人間はまず助からん。襲われたら迷わず殺せ。それが被害者のためでもある】
こんな時に、家入硝子の言葉を思い出してしまった。
殺すことが、被害者の為になるのか。
本当か。
それは自分のエゴとかじゃないのか。
だけど涙を流す目の前の改造人間をこれ以上見ていられないのも事実だ。