第14章 明日
問題は、私だ。
ウェストポーチから鍵を取り出す。
七海は言っていた。
アイツの手に触れると魂の形状が変形・改造され、遅かれ早かれ改造された人間は死ぬ。
「ん~、君の相手をするほど、俺も暇じゃないんだよね」
「私もお前の相手をするほど暇じゃないんでね、早めに祓わせてもらうよ」
私は男の足元に鍵を差し込み地面を崩した。
バランスの崩れた男の両腕と両脚に鍵を撃ち込み、左手を外側へと回す。
男の四肢はまるで機能を停止したかのようにだらんとぶら下がり地面に転がる。
しかし、すぐに再生した。
「変わった術式……。いや呪力か。たしかにこれは少し面倒だ」
ぼそりと呟く男は、一瞬にして私の目の前へとやってきた。
ギリギリのところで男の掌を交わすが、掠った頬から血が流れる。
掠り程度では魂の干渉を受けはしないが、それでも掠っただけでこれだ。
触れたら、最後だ。
頬から流れる血を拭い、私はもう一度鍵を取り出す。
対峙しようとした時、男は口の中から何か小さい石のようなヘンなものを吐き出した。
それは男の手に触れると、異形の形へと変わる。
「君の相手はこいつらだよ。君に、殺せるかな」
「くそが……」
こいつはわかっているんだ。
私が、人を殺したことがないと言うことを。
「足止めをしろ。殺しはするな」
その言葉を聞いた異形のそれは私に突進してきた。
それを交わし、鍵を投げ入れようとしたが躊躇してしまった。
こんな形でも「人間」だと思ってしまえば、殺すことができない。
隙だらけの私の身体に巻き付き、地面に倒れる。
どんなにもがいても、それは私の身体を離そうとしない。