第14章 明日
「ただの友達だよ」
「そ。今はね」
「今は……?」
「夏油振り向かせるんだ」
「だからお前はペラペラしゃべりすぎなんだよ‼」
満面の笑顔を咲かせる虎杖の頭をはたいた。
よく恥ずかしげもなく言えるなコイツ。
開き直ってるのか、もしかして。
「吉野は映画好きなんだな」
「うん。特にホラーとスプラッタが好き」
「話聞いてりゃわかるよ」
話題を変えようと私は吉野に話しかける。
すると吉野は目に見えて嬉しそうに笑った。
私も虎杖も映画は専らDVDで観ていたが、吉野は映画館に足を運んで観ているらしい。
なんでもでかいスクリーンで観る迫力や当たりを引いた時の感動はデカいとのことらしい。
「最後に映画館に行ったのいつだっけ……?夏油覚えてる?」
「私、映画館で映画観たことないかも」
「「えっ!?」」
「そこまで驚かなくていいだろ……」
昔が昔だから、仕方ないだろ。
「それは由々しき事態だ。順平、今度オススメあったら連れてってよ。もちろん夏油も一緒に」
虎杖の言葉にピシッと固まる吉野。
明らかにそれは戸惑いの表れなのに、違う解釈をした虎杖はスマホを取り出して「連絡先?はい」と吉野の前に出した。
違う、虎杖違うよ。
吉野は連絡先を知らなくて固まったんじゃない。
お前のパーソナルスペースをなんなく超えちゃうそのポテンシャルに吉野は戸惑っているだけなの。