第14章 明日
「二級ならギリなんとかなると思うよ、俺でも」
あっけらかんとした表情で言う虎杖に私は軽く息を吐いた。
それは呪霊の場合だ。
「伏黒が言ってたろ。通常、呪霊と同等級の術師が任務に当たるって」
「うん」
「つまりだな、二級術師は一級呪霊に勝つのが当たり前。二級術師は一級呪霊に近い実力ってわけ。だからもし吉野にそれ以上のポテンシャルがあった場合、私と同等かそれ以上の実力があるかもしれないって話」
「……なんで俺はそういう大事な情報知らないの?」
五条悟が適当だからだろ。
そう思った時、バックミラー越しに伊地知さんと目が合った。
どうやら彼も同じことを考えていたらしい。
力なく笑う伊地知さんに私も笑って返した。
路肩に車を止めて、私たちは足で吉野を尾行することに。
蠅頭が入った籠を持っているのは私である。
手が塞がっているため自作自演で気が乗らないという虎杖のケツを蹴りながら、私たちは吉野の背中を追った。
どのくらい尾行をしていただろう。
いつの間にか喧騒の町中から閑静な住宅街へとやってきた。
人気も少なく、作戦を実行するなら今だろう。
私は地面に籠を置き、籠の鍵を開けた。
その時。
「タンマ!!誰かいる!!」
「「え?」」
私と伊地知さんの声が重なったが、時すでに遅し。
放たれた蠅頭は、勢いよく籠の外へと逃げ出した。
一匹は吉野のいる方向へ。
もう一匹はよくわからない方向へ。
誰よりも早く駆けだす虎杖。
伊地知さんに目をやると、一度だけこくんと頷いた。
私は虎杖を追えとの合図。
もう一匹の蠅頭は伊地知さんが捕まえてくれるだろう。
そのことを信じて私は虎杖を追いかけた。