第26章 事変
―――祓う。
―――助ける。
―――守る。
彼等の笑顔を。
未来ある彼らが笑顔で生きていけるよう。
―――祓う。
―――助ける。
―――守る。
「マレーシア……」
敵を目の前にして、零れた言葉はそれだった。
頭の中で浮かぶ映像はマレーシアの綺麗な風景。
「そうだな……マレーシア……。……クアンタンがいい」
寄せては返す波のように、穏やかに。
同じことが繰り返されるだけのなんでもない場所に。
海の近くに家を建てて。
さざ波に耳を傾けながら買うだけ買ってまだ手を付けていない本を読んで、一ページ丁寧にめくって今までの時間を取り戻すようにゆっくりと。
人や呪いの存在しない場所で、流れるまま過ごして海風に当たって眠りにつく。
ああ、そうだ。
彼女から借りたCD―――クラシックを聴きながら眠りにつくのもいいかもしれない。
海の音とクラシックの音はとても居心地がいいに違いない。
違う。
私は今。
伏黒君を助けに……。
真希さん……直毘人さんは……?
二人はどうなった……。
―――ああ。
疲れたな。
疲れたよ。
充分やったさ。
そうでしょう。
灰原……。