第26章 事変
支柱まで真人を殴り飛ばした虎杖は容赦なく殴り続ける。
真人が逃げる事が無いよう、手足に鍵を撃ち込み呪力を封じ込める。
このまま真人の呪力が切れるまで攻撃し続ければ、勝算はこちらに傾く。
そう、思っていた。
虎杖の渾身の一撃が真人の顔面を殴った瞬間。
あいつは分裂しやがった。
しかも二つ三つではなく、もっとたくさん……。
追いかけなきゃ、追いかけなきゃ。
頭では分かっているのに、手に、足に、力が入らない。
呪力が、もうないんだ……。
膝から崩れる様に地面に倒れ込んだ。
「!!」
「いいから行け!!私は、だいじょ、ぶ……だからっ」
役立たずすぎるだろ、馬鹿野郎。
痙攣している手足を動かしたくても言う事を聞いてくれない。
だけど、倒れていいわけがないんだよなぁ……!!
早く追いかけなきゃ。
何のための呪術師だよ。
みんなみんな傷ついて怪我をして、七海だって……。
甘えんな、自分に。
やるべきことを果たせ。
それが呪術師だ。
震えながらもぐっと力を篭めればなんとか立つことは出来た。
ほら見ろ、立てるじゃないか。
「ははっ」
思わず笑みが零れて、私は壁伝いに歩き出した。
少しでも力を抜いてしまえば倒れてしまう、そんな状態。
虎杖の呪力を追って追って。
漸く彼らに追いついたと思った。
そしたら、なぜか真人は2人いるし野薔薇もいるし、野薔薇の顔に真人の掌が触れるし。
「野薔薇ァ!!!!」
立っているだけでやっとだったはずなのに。
私の身体は無意識に野薔薇の元へと駆けだしていた。