第26章 事変
「虎杖、やめろ……」
「死ねよ!!死ね!!今すぐ!!死ね!!」
「虎杖!!!」
肩を思い切り掴んだ。
自分を責めて傷つけるこいつの姿を見たくなかった。
虎杖の頬を両手で包み込み顔を見合わせる。
涙で濡れる瞳に私の顔が映る。
そして優しく彼の身体を抱きしめた。
今はこうすることでしかこいつを慰めることができない。
どんな言葉を吐いたって今の虎杖には何も響かないだろう。
ぎゅっと抱きしめていた私の耳元で虎杖が何か呟いた。
こんなに近い距離にいると言うのに、彼の声はあまりにも小さすぎた。
「なに?」
母親が子供に優しく微笑んで問いかける様に、できるだけ私は柔らかい声色で尋ねた。
が、ぐっと肩を押され密着していた体は引き剥がされた。
「行かなきゃ」
そう呟く虎杖の瞳は虚空を見つめていた。
「戦わなきゃ」
いつもの明るい声とは真逆の無機質なその声に。
私は一言も声を出すことができなかった。
虎杖の、精神状態は、もう、限界に近い事を悟り。
コイツの側にいないといけないと本能が叫んで。
私は、虎杖の背中を追いかけた。